<NIGEL CABOURN>RAILMAN DENIM PANT
1900年代初頭、鉄道員に愛用されたビンテージデニムをベースにしています。 股上が深く、すそ幅が広い、ワイドタイプのデニムです。
当時のファブリックの設計は元々意図したものではなく、戦時下のデニム工場で場当たり的に誕生しました。
ワークウェアとして大量生産すべきファブリックでしたが、物資そのものの不足、供給の不安定さにより同じ太さの番手の糸の入手に苦しんだということです。
経糸はある程度まとまった量の同番手の糸をセットする事が織物業界の常識でした。
デニムの生産は急務であったために、デニム工場はやむを得ず、手に入る異番手、すなわち太さの異なる経糸を、入荷した順にランダムにセットして生産を行いました。
この極めて特異なデニム生地は、戦時下のある特定の工場で生まれ、物資の安定した戦後にはすぐ消えてなくなりました。
本ファブリックは、5番、6番、7番とそれぞれに微妙に、しかしはっきりと異なった太さの糸を完全にアトランダムにタテに掛けています。見た目では判別のつかない糸を規則性なく掛けるという作業は、現代においては非常に時間と手間のかかる困難な工程です。
起伏に富んだファブリックは履き込めば履き込む程に、その起伏に応じて経年変化を起こしますので、世の多くのデニムとは全く異なります。
ボタンフライ仕様です。
強固なファブリックに相応しい金属製ボタンが使われています。
ボタンを打つ際には、ボタンに適合したコマを打ち具にセットしてファブリックにボタンを打ち付けます。
オリジナルドーナツボタンはコマに工夫をこらして、ボタンの裏側にブロードアローが刻印されるよう細工しました。ボタンを打つ圧力は完全に一定ではない事を逆手にとってアトランダムな印影となるよう仕上げています。
また、当時のミシンは返し縫いができなかったため、V字ステッチや一本縫いをすることで糸のほつれに対応していました。
V字スリットは運動量を確保するために設けられ、シンチバックで調整します。
着用モデルのジャストサイズは30。
32を着用。お好みで普段よりも1サイズ大きめを選んでいただいても結構です。